墓場よりお送りいたします

ブン学、オン楽、映画のはなしなど

娯楽に全振り!女装が雑すぎる/『真紅の盗賊』

バートランカスターのプロモーションビデオか?っていうスターありき映画です。バートのアクション以外にはあんまり期待してませんでしたが、ちゃんと海でロケしてるっぽいし、脇役のニック・クラヴァットも演技がうまくていいキャラ出してるし、一瞬ですがバートの女装シーン(!!!!!!)まで出てきて意外とお得感がありました。

女装は全然似合ってなくて、まず身体がゴツすぎる(ゴツさを衣装などでカモフラージュしようという気が全くない)。そして髪も取ってつけたような縦ロール。メイクもあんまりしてないというお粗末な女装でしたが、かなり笑えました。全部盛りの娯楽大作だからってスターに何させてもいいと思ってんのか。(笑) 馬車というか山車というかそういうやつに乗って登場するやいなや雑な女装で投げキッス。妙にくねくねした身のこなし。揺れる縦ロール。これまた雑な両サイドの女装に手を取られて降車。ゆっくりと一歩ずつ近づいてくるヒラヒラスカートのゴツい奴。なんのギャグなんだよ!


 若い頃のバートは現代のハイ・ドラァグ・テクノロジーで女装したらかなり可能性を感じるのではないかと思いましたが、ただ女装が似合うのって坂東玉三郎とか地顔が薄い人だとは思うので、バートみたいな濃い顔の人は素質があんまりないかも知れない。


一瞬の女装はともかく、男スタイルでは袖がふんわりした白シャツにピチピチのズボンの海賊スタイルとか、男爵のふりして夜会に出る時のピチピチのズボンとアビとかをよく着こなしている上、上裸が適度にむさくて良かったです。というか上が何であろうと基本ズボンピチピチ。何を狙ってるのか?


ストーリーはプロモーションビデオなりなのであまり重要ではありませんが、海賊船のキャプテンであるバートがなんやかんやあって美女と出会い、紆余曲折あって無事最後はチューで締まります。今どきの作品ではやはりド直球の異性愛礼賛、チューで大団円ってつまらないものになってしまってますが、こういうハリウッドゴールデンエイジのお約束って一周回ってやっぱりパワーあるなあと思います。量産されるってことはそれだけみんな好きってことですから。むしろこの時代のハリウッドにそういうのを期待しているので、お約束がなかったら物足りないかも。この時代のお約束をしっかり踏まえるからこそ、こうやって遊びの部分で女装とか好き勝手できる多様性もあるのかも知れません。しかしその女装はもうちょっとやる気出せよ。