墓場よりお送りいたします

ブン学、オン楽、映画のはなしなど

破れかぶれの愛が彼女の背中を押す?/『ジョーンについて』

イザベル・ユペール、良いよねえ、演技上手いよねえ……。『ELLE』、『エヴァ』、『未来よこんにちは』、『ヴィオレッタ』、『母の残像』、『ブロンテ姉妹』、『アスファルト』、『ピアニスト』、本作と彼女の出演作を観たけど(結構観てる………)『アスファルト』以外は傑作・佳作が多くて、仕事選びが上手い&イザベルの力量がすごいなー。『ピアニスト』はハネケ監督の良さもあるけど中年のイザベルの気品と老嬢としての凶々しさが本当に良いです。

 

本作は一人息子を女手一つで育ててきたジョーン(イザベル・ユペール)がこれまでの人生を振り返り、ついにはひとつの決別を果たし、彼女に捧げられた愛を受け入れる物語。出生から巣立ち後までの息子とのかかわりが物語の終盤まで大きなスペースを占めていて、彼が幻想(幽霊?)だったことが明かされた時はびっくりした…。

 

ジョーンなりに納得して感謝を持って息子と決別するけれど、そこにはちょいちょい挿入されていたマジどうしようもないドイツ人が捧げた破れかぶれの愛があったおかげ……?かも?ドイツ人を演じてる人は『バビロン・ベルリン』であのアザのある情けない坊ちゃんやってる人です(ラース・アイディンガー)。最後は一歩踏み出したジョーンがドイツ人の愛を受け入れる。ここで着てる青いワンピースきれいねー。

認めること、感謝して手放すこと、そしてその先にある受容を描いた映画だった。