墓場よりお送りいたします

ブン学、オン楽、映画のはなしなど

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

歌が下手なのが致命的/『チョコレートドーナツ』

世間の評価が高いらしいので期待して観たけどあんまりこのテンションに乗りきれなくて全体的に「イマイチ……」という印象だった。まあハードル上げすぎてたのと、「感動作」一般と相性が悪いので……ゲイへの偏見をなくそうというメッセージはそれなりにちゃん…

気持ちはわかるけどそのテープは捨てちゃうなよ!!/『ガッジョ・ディーロ』

ずっと観たかった。歌と踊りこそ人生。フランス人の若者ステファンは、父が愛聴した伝説のジプシー歌手ノラ・ルカに会うためにはるばるルーマニアにやってくる。言葉も通じない中、やたらと感情表現が大げさ(とてもジプシーっぽい)な村の老人イシドールに気…

叶わなかったifの物語/『つぐない』

シアーシャ・ローナンのエキセントリックピュアガール感、既にこの頃から出来上がってたんだな…画が綺麗な映画ってそれだけで良いですよね…。あの英国の植込みと芝生。セシリアとロビーは実際は逮捕の時からもう二度と会えなかった。ブライオニーがふたりに…

波に乗り遅れたけど『パチンコ』面白すぎる

ミン・ジン・リー『パチンコ』(上)を読んだ。面白すぎる……この没入感は『芙蓉千里』以来かも。大事なところ(イサクの死とか)を具体的に描き切らないところとか本当にストーリーテリングが巧み。一章ごとのラストフレーズもめちゃくちゃ余韻があってとてもよ…

偽預言者に気をつけよ/『狩人の夜』

チャールズ・ロートン監督『狩人の夜』を観た。幼い兄妹、ジョンとパールの父ベンは生活苦から強盗殺人を犯し、死刑に処されるが、逮捕される前に子供達に盗んだ金を託していた。そこへベンと同じ房に入れられていた自称伝道師、ハリー・パウエルがやってく…

やっぱり詩人/『フラーニャと私』

ノルシュテイン『フラーニャと私』を読んだ。制作途上や、構想のみで撮影しなかったシーンなどの膨大なスケッチやエスキースをノルシュテインの希望の順番で編集したらしい。特に製作中で未完の『外套』の絵がたくさん観られて良い。妻のフラーニャが美術監…

日本語が雑い/『ジョン・ウィック:パラベラム』

とにかく日本っぽさが雑いことが鼻についた3作目。全体的にも、やっぱり続きものは1作目を超えられないの法則発動ですね。「イラッシャイマセー」の白々しさ…ゼロの手下なんて日本語喋ってすらないし…あとカメラワークのゲームっぽさが増したなーと思いまし…

もっとバッドガールかと思ってたよ/『ギルダ』

チャールズ・ヴィダー監督『ギルダ』(1946)を観た。筋がいまいちわかりにくくて、ギルダとジョニーが以前恋愛関係にあってひどい別れ方をしたのは示唆されてるんだけど、具体的に何があったのかいつか判明するのかなーと思って待っていたら特に明かされずに…

急にテンポ早くなって終わるMV的読後感/『かか』

宇佐美りん『かか』を読んだ。独特の「かか語」で綴られる19歳の、みずみずしいというにはあまりに生っぽい母親への感情。最後にたたみかける走馬灯のような「結局こうなった」のターンは、最後に急にテンポが早くなってカットがどんどん切り替わって音がジ…

まさにアニメで綴る詩/『アニメの詩人 ノルシュテイン』

児島宏子『アニメの詩人 ノルシュテイン』を読んだ。この本を手に取るのはすでにノルシュテイン・ファンの方だと思いますが、「ノルシュテイン短編集」を観ていないと本書を読んでも意味がわからないと思うので、ノルシュテイン作品を未見の方は先にアニメの…

どうせ何もかも偽物だったんだから/『俺の歯の話』

バレリア・ルイセリ著『俺の歯の話』を読んだ。あらすじをダラダラ書いてもこの本の良さは伝わらないし、訳者あとがきでマツケン先生がかなりこの本の理解の助けになることを書いてくれているので私から言うことはない。とにかく冒頭が最高なので引用したい…