墓場よりお送りいたします

ブン学、オン楽、映画のはなしなど

偽預言者に気をつけよ/『狩人の夜』

チャールズ・ロートン監督『狩人の夜』を観た。

幼い兄妹、ジョンとパールの父ベンは生活苦から強盗殺人を犯し、死刑に処されるが、逮捕される前に子供達に盗んだ金を託していた。そこへベンと同じ房に入れられていた自称伝道師、ハリー・パウエルがやってくる。右手には「LOVE」、左手には「HATE」の入れ墨(なんちゅうビジュアルの強さよ)。ベンとパールの母、ヴィラはハリーに惹かれ、ハリーが金を狙っていることを知らずに再婚してしまう。ヴィラは殺され、脅されて「金はパールがいつも持っている人形に詰めてある」と話してしまったジョンとパールはハリーのもとを逃げ出し、小舟で川を漂流する。孤児を引き取って育てている老婦人レイチェル(リリアン・ギッシュ!!)に拾われたジョンとパールは、またもハリーに命を狙われるが、レイチェルはライフルを構え、寝ずの番をして子供たちを守る。納屋に隠れていたハリーが遂に警察に逮捕される瞬間、ジョンの中で手錠をかけられるハリーが父の姿とオーバーラップし、人形から金を撒き散らしながら「パパ!パパ!やめて!」と飛び出していく。

その年のクリスマス、ハリーの裁判が開かれる。ハリーは結婚詐欺の常習犯で、未亡人と結婚して金を巻き上げ、次々と殺していたことがわかった。怒り狂って興奮した傍聴者たちは、手に手に獲物を持ってハリーの護送される場に雪崩れ込む。騒ぎに巻き込まれるのを嫌ったレイチェルは、子供たちを連れて足早に帰宅する。

翌日、レイチェルと子供たちは、クリスマスプレゼントを贈り合う。一家はやっと平和で家族愛に満ちたクリスマスを迎えられたのだった。


ジョンも頑張ってて可愛いけど幼いパールがめちゃくちゃ可愛いです。パールって結構ポピュラーな名前なんだろうか。可愛い名前だよね。『緋文字』のヘスターの娘もパールだったし。

異常な長さのメイキング冒頭、朗読会が大人気だったというロートンが聖書の引用を交えて語る。確かにいい声で重みがある。「偽預言者に気をつけよ」というキーワードはタル・ベーラ『サタンタンゴ』も同じだけど、あっちはあっちでタル・ワールドが爆発しててうまく比較できないな。

なんか要所要所で動物がカットインしてくるんだけど、象徴にしては独特の入り方だった。フクロウがウサギを襲うシーンはかなり理解できるんだけど、川下りの時のいろんな動物たちは一体なんだったんでしょうか。わけわからん動物のカットインといえば「ムトゥ踊るマハラジャ」なのでちょっと頭の中にムトゥが登場してしまった…。

シネフィルイマジカの山下さんも書いてたと思うけどとにかくリリアン・ギッシュが強いです。ライフルを構えた時の迫力よ……。無声映画時代から長い間活躍されてて、老いてもなおどこか少女のような無垢な感じと老獪さが同居している名優ですね。