墓場よりお送りいたします

ブン学、オン楽、映画のはなしなど

「3つ数えろ」よりこっちが「The Big Sleep」じゃん/『イカリエ-XB1』

2001年宇宙の旅』や『スタートレック』など錚々たるスペースムービーに影響を与えたと言われるいにしえのチェコ共産SF。あーなんとなくわかるような分からんような。というかそもそも『2001年宇宙の旅』を観たのがだいぶ前だしあんまり真剣に観ていないんですよね………。最初の猿シーン、一瞬で飽きてご飯食べながら流し観して骨がバーンのところでやっとまともに観る気になったし……。HALの電源切りながら歌ってもらうところは感動したけどそれ以外そこまでちゃんとは覚えてない。


昔地球から送られた難破船を探索中に核兵器が作動してしまう事故とか、ミハルを瀕死に追いやる「ダーク・スター」が発する放射線とかが登場することから核兵器への意識?が強く感じられますが製作はチェルノブイリより前らしいので日本への原爆投下とかビキニ環礁被爆事件とかが念頭にあったんでしょうか。あからさまに「核兵器なんて、20世紀の人間は愚かだ」とか登場人物が言ってたしね。


さて目的地アルファ・ケンタウリ系との間に現れたダーク・スター放射線のせいで、乗組員たちは「60日間の眠り」につく。ところが眠りから覚めてみると25日しか眠っていない。しかし船外作業を行なっていた乗組員2名は大量に被爆しており激しい身体症状を呈する。そのうちの1人ミハルは錯乱し「地球に帰らせろ」といって管制室をジャックする。実はハイジャックものだったのか………。必死の説得によりミハルは確保された。

そして60日間の眠りから途中で目覚めた謎が解けた。なんとアルファ・ケンタウリ星に住む生命体が、船をダーク・スター放射線の影響から守ってくれたのだった。地球人より高度な技術持ってた……。新天地への希望を抱きつつ船はアルファ・ケンタウリ系の惑星に今にも着陸せんとするところで物語は終わる。


2001年宇宙の旅』が「宇宙空間の画に「美しく青きドナウ」を流せばいける」などの独特の宇宙映画スタンダードを作ってしまった感があるものの、そういった「キューブリック的宇宙」演出ではないところに他の宇宙映画と共通するスペース感というのはあって、それって確かにイカリエに流れるなんかこんな空気感だったかなあとも思う。たしかにスペースムービーの源流は『イカリエ』にあるのかもしれない。