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それがアイリッシュのハードボイルドなのか?/『ジャック・テイラー』

イアン・グレン主演ドラマ『ジャック・テイラー』を観た。

アイルランドのゴールウェイという地方都市で私立探偵をやっているジャック・テイラーが主人公のクライムサスペンスなのだが、ハードボイルドと言われている割になんだか主人公はしっかりしていなくて(本人もセリフで「ハードボイルドというよりハードフライドかな」と言ってる)、酒に飲まれてベロンベロンになるわ、気に入らない奴はすぐ殴るわ、あっさり殴り返されて道端に転がるわ、襲ってきた奴を殺そうと思ってないのに事故で殺しちゃうわ、しっかり証拠が揃ってないのに自分の推理だけで「テキトーな理由で早く引っ張れ」と警官に迫るわ、イアングレンの顔の良さに対してキャラクター造形になんかかっこ悪いところがある。


各話の殺人の謎解きも総じてイマイチだった。そして致命的な問題は、テイラーがローナンを失明させてたとか、視聴者が知らない情報をあたかも既出のように初出の回想シーンで出してくるとこ………。伏線になってないじゃん!としか言いようがない。


このドラマの良いところはイアングレンの顔が良いところ。あと、母親との微妙な関係を描いていて良かった。私は日本のテレビドラマの家族像に本当にうんざりしているので、日本のドラマ制作界隈にはこんな微妙な関係性のまま母が死んじゃうみたいな話を描き出せる力量は無いだろうなと思います。これ日本だったらお母さんが脳卒中になった時点でお涙頂戴になるのが見え見えだもん………。


6話まではケイトと微妙な関係を保ちつつ上手く相棒をやってたのに、7話からケイトのキャストが変更になってあからさまにテイラーとくっついたのが余計だった。降板なら死なして他の女性キャラクターを登場させるなりなんなり、やりようはあったはず。コーディでそれをやってしまったからケイトにはその手は使えなかったのか?ダウントンアビーでキャストが降板するたびに主役級キャラクターであろうが何であろうがしっかり殺して変なキャスト変更をさせなかったジュリアンフェローズの偉大さを思い知った。


イアングレン・ファンとしてはアル中のイアングレンとか上裸のイアングレンとか母親とお散歩するイアングレンとかが見られて良かったです。